耳をすませば【Whisper of the Heart】・ジブリ

Whisper of the Heart

思春期の少年少女が恋愛や、将来の夢に向かって進もうとする甘酸っぱい気持ちにさせる繊細な心理描写のこの物語。

そんな本作の映画化のきっかけや、目指したテーマや、物語のその後やエンドロールでのサイドストーリー。

当時日本初のドルビーデジタル音響を採用するなどの挑戦などについて解説を行います。 

耳をすませば、映画化のきっかけ

宮崎駿の義父が建てた山小屋には、彼の姪らが昔読んだ少女マンガ雑誌が残されており、宮崎は毎年夏の休暇中にそれらを読むのが習慣だった。

1989年の夏、雑誌がボロボロになったため宮崎が農協のスーパーで新しいのを買ったところ、2度目に購入した雑誌に原作漫画の連載2回目が掲載されており、これに興味を持ったのが制作のきっかけとなったと言われている。

リボンに掲載されている原作の「耳をすませば」は読者にはあわなかったのか連載4回で打ち切りとなっています。

また、原作者の柊あおいは、以前から宮崎のファンであったが、宮崎が本作品の映画化を希望しているという話を担当からの電話で聞いた際、それが信じられず、思わず「冗談でしょ」と返事をしたという。

日本の映画で初めてドルビーデジタルサウンドを採用した

Whisper of the Heart

本作は日本で初めてドルビーデジタルサウンドを採用した映画となっています。

事の起こりは1994年にドルビーデジタルの副社長がジブリを訪ねて、「日本のスピルバーグといったらあなたでしょう。

あなたが音をよくしようと思わなければ、日本の映画の音は一向によくならない」と言われ、宮崎は「よし、じゃあ今回はぜひ、そのドルビーデジタルを使ってみよう。

それだけじゃなく音作りの面にたっぷり時間をかけて、今までにない、いい音を作っていこう」と語っている。

ただ、当時日本ではドルビーデジタルに対応した映画館はごくわずかだった。

そのためか、原作にない「聖司の将来の夢がバイオリン職人」に変わったりコンクリートロードの歌が歌われたり、言い音質が堪能できるような演出が配慮されています。

耳をすませば、原作との違い

先ほども述べたように本作は原作の2回目の連載を見た段階で映画化を進めており、原作の終了まで読んだ宮崎は自身が予想していた結末ではなかったため、”ありったけのリアリティー”を付け加えたいと語っており、前述した以外の内容以外では原作から以下の相違点が付け加えられました。

・原作では雫たちの学年は中学1年だが、映画では中学3年。

・雫と聖司の出会いのシーンで原作では読んでいる本の内容を馬鹿にしているが、映画では本に挟んであった雫の考えた「コンクリート・ロード」(カントリー・ロードの替え歌)の歌詞を馬鹿にしている。

・原作では聖司の兄である航司が登場している。

映画の最初に汐が雫にポストカードを渡すシーンがあるが、原作では汐は彼と交際している設定であり、ポストカードを受け取って嬉しそうにしている。

・汐は原作では高校生だが、映画では大学生である。

・汐は原作ではおっとりした性格だが、映画では気の強い性格をしている。

・月島姉妹の母は映画では社会人大学生で現実主義者だが、原作では専業主婦で気の強い性格をしている(映画の汐の性格に近い)。

・原作では月島家は一軒家に住んでいるが、映画では集合住宅(団地)に住んでいる。

・原作のムーンは黒猫でルナという姉猫も登場しているが、黒猫は『魔女の宅急便』のジジと被り、「同じことは2度やらない」という宮崎の主義もあった[20]。

ルナという名前も当時放送されていた『美少女戦士セーラームーン』に登場する黒猫「ルナ」をイメージするため、あえて変更した。

・原作では某県であるが、映画では東京都である。

また、原作では学校の設置者が緑町による「町立」だが、映画では某市による「市立」である。

物語のその後

原作では「耳をすませば 幸せな時間」という続編がでていますが、内容は中学3年生になった雫たちの進路に触れられる程度で、聖司との関係に進展があったわけでありません。

ジブリも公式に続編については何も言っておらず。

今は亡き近藤監督にも配慮されていると思われます。

ただ、聖司が雫に告白した日の一日を描いたエンドロールにて、彼らのスピンオフ的シーンが登場すると話題になりました。

夕方の下校時に、電柱のそばで夕子と杉村が待ち合わせ、仲良く歩いています。

これは近藤喜文監督の「絵コンテにどうしても入らなかったけど、どうしてもあの2人を救済したかった」と語っています。

図書協会からのクレームもあった?

物語の中での演出で雫は図書カードに書かれた名前から、聖司に興味を持つといった描写がされているが、この貸出方式(ニューアーク方式)はプライバシー保護の観点から、公開当時および作中の時代にはすでに都内の公立図書館において使用されていないものであった。

日本図書館協会は抗議を行い、DVD化の際にはテロップが挿入されている。