ハウルの動く城【Howl’s Moving Castle】・ジブリ
木村拓哉が声優を務めたことでも有名なジブリアニメ「ハウルの動く城」
基本的にはソフィーの視点から物語が進んでいくので、他のキャラクタのバックグラウンド等の情報は推測をしてみることが多いです。
本記事ではアニメを見ているだけではわからない、原作などの情報を元に色々な視点からハウルの動く城についてみていきたいと思います。
ハウルの動く城が上映までに至ったいきさつ
当時宮崎駿監督には徳間書店から児童書の新刊が毎月送られており、その一冊として送られてきた原作である、『ロマンアルバム ハウルの動く城』を見てこの映画の企画が始ったといわれています。
当時は「バロン」と呼ばれていた、公開時の名称で「猫の恩返し」との同時上映が予定されていました。
監督は後に「サマーウォーズ」等を手掛ける細田守が監督として観衆を行い、2003年春に公開という情報もでました。(2001年当時)
しかし2002年4月に企画は頓挫し、制作チームは解散となった。
原因はいまだにはっきりと明言はされておらず、2001年に細田の母が脳梗塞で倒れたことが要因だという話もあり、スタッフとの確執があったなどの噂もあったが、どの話にも言葉を濁してている。
その後2002年10月に監督を宮崎駿に変えてプロジェクトは続行され、2004年11月20日に公開を迎える。
興行成績・世間の評価
公開2日目で観客動員数110万人、興行収入14億8000万円と、日本映画としては当時の歴代最高のオープニングとなり、2005年5月1日までに観客1500万人を動員。
興行収入196億円、2004年と2005年の興行成績第1位を記録し、『千と千尋の神隠し』に次ぐジブリ史上第2位の記録を樹立した。
ハウルの動く城は数々の賞も受賞している。
その年の第61回ヴェネツィア国際映画祭においてオゼッラ賞、翌年にはニューヨーク映画批評家協会最優秀アニメーション賞を受賞。
更にアニメーションのアカデミー賞と言われる第33回アニー賞の長編映画部門作品賞にノミネート(33rd Annual Annie Award Nominees and Winners)されたことに続き、『千と千尋の神隠し』以来となる第78回アカデミー賞にもノミネートされる等、海外においても高く評価された。2008年の英エンパイア誌では、史上最高の映画500本の中に選出されている。
なぜ戦争がおこっているのか
ハウルの動く城は風の谷のナウシカのように原作のある映画です。
本作でも同じように原作をなぞるように映画を書くのではなく原作とは多少異なる条件や描写になっています。
戦争が行われているものその一つです。ではなぜ戦争が行われているのでしょうか?
一つには監督が「戦火の恋をやってみたかった」と語っています。
また当時は(アメリカ同時多発テロから勃発した)イラク戦争に本作が強い影響を受けていることも明言しているのですが、この終わらせ方では戦争という題材を中途半端に扱っているという印象をどうしても持ってしまいました。
これも“戦争はそうした誰かの簡単な行動で、あっけなく収束してしまえる”という皮肉なのかもしれません。
ソフィーは魔法使い?
原作の小説では、「ソフィー」は「物に命を吹き込む魔法」を使えると明記されています。
ですが、映画では特に明記はされていませんが、意識的か無意識的に魔法を使ったと思われる場面が出ています。
それぞれの場面についてみていきます。
カブの呪いを解いた?
カカシのカブは、物語の終盤にソフィーがカブにキスをすることで、魔法が解けて人間の姿に戻ることができました。
カブは隣国の王子であり、魔法によりカブ頭のカカシになっていたとのこと。しかし、なぜ魔法が解けたのかという理由が明確に述べられていません。
ファンの間では
好きな人のキスで呪いが解ける魔法なのでソフィーのキスによって呪いが解けたとする。ソフィーの魔法ではない説と
ソフィーの「物に命を吹き込む魔法」によってカカシから人間にもどったとする説があります。
魔法で老婆に変えられたのに自分の意思で戻っている?
ソフィーは荒野の魔女に呪いをかけられ90歳の老婆に変えられたのにときどき元の年齢に戻っていることがあります。
これについては映画内では特に解説は無く、また呪いが解けた。と言った発言もありません。これについては
一時的に呪いが弱まったりすることにより年齢が変わっているという説と
そもそも呪いではなくソフィーの力(魔法)によって年齢が変わっているという説があります。
ハウルとカルシファーの契約を解除した?
「ハウル」と「カルシファー」の間には契約が結ばれていました。
どんな内容かというと、『ハウルの心臓をカルシファーに与え、カルシファーの力をハウルが得る』という契約です。
そのため、ハウルが死ねばカルシファーも死ぬし、逆にカルシファーが死ねばハウルも死ぬことに。
さらにハウルにこき使われるのを嫌がっていたカルシファーは、ハウルとの契約解除を希望していました。
しかし、カルシファーはもともと「星の子」です。
星の子は空から地上へ降ってくるとすぐに死んでしまう存在で、それを見てかわいそうに思ったハウルが、星の子を死なせないために自分の心臓を与え、悪魔にする契約をしてしまったという経緯がありました。
この事実より、契約を解除するということは、心臓をハウルに戻すことになり、カルシファーに待つ未来は死という、解除したくてもできない状況でした。
ハウルもこの事実を知っているため、契約は解除せずカルシファーと共に生きていました。
ですが、映画内で「やってみるね。どうか、カルシファーが千年も生き、ハウルが、心をとりもどしますように。」
という言葉が魔法になり、ハウルとカルシファーの両方の命を救う事が出来たのだと思われます。